喜歌劇『こうもり』ってどんなお話?
3年前のある晩、ファルケ博士は、友人のアイゼンシュタインと仮面舞踏会に出かけました。
こうもりの扮装で仮面舞踏会を楽しんだファルケ博士でしたが、帰り道で酔いつぶれてしまい、友人のアイゼンシュタインに置いていかれてしまいました。
翌朝になって目を覚ますと、近所の子どもたちから笑いものにされ、それ以来〈こうもり博士〉と呼ばれるようになってしまいました。
アイゼンシュタインに大恥をかかされたファルケ博士は、入念に復讐の計画を立てていました。そして今日がそのとき!
第一幕
口論の末、役人を殴ってしまったアイゼンシュタインは、8日間の禁固刑を言い渡されてしまいます。
そこへファルケ博士が「刑務所に入る前に舞踏会に行かないか」と誘いに来ます。すっかり乗り気になったアイゼンシュタインは妻には内緒にして、ウキウキで舞踏会に出かけることに。
一方、家に残された彼の妻のロザリンデのもとに、かつての恋人アルフレードが訪ねてきます。複雑な心境のロザリンデをよそに、あたかも本当の夫のように振舞うアルフレードですが、そこへ刑務所長のフランクがアイゼンシュタインを逮捕しにやって来ました。
自身の浮気がばれるのを恐れたロザリンデは、アルフレードを夫に仕立て上げて刑務所に送り出します。
第二幕
オルロフスキー邸での華やかな舞踏会。
ルナール侯爵という偽名でアイゼンシュタインが到着すると、ファルケ博士の策略で同じく舞踏会に参加した小間使いアデーレと鉢合わせ。巧みに女優になりきるアデーレを小間使い呼ばわりしたことで、アイゼンシュタインは周りから笑いものにされてしまいます。
その後、刑務所長のフランクが騎士シャグランに扮してやってきます。お互いフランス系の偽名で参加しているアイゼンシュタインとフランクは、めちゃくちゃなフランス語でなぜか意気投合するのでした。
そこへ現れた、仮面をつけた美しいハンガリーの貴婦人。夢中になったアイゼンシュタインは自慢の懐中時計を使って口説こうとします。
この貴婦人の正体は、実は彼の妻のロザリンデ。刑務所にいるはずのアイゼンシュタインが舞踏会で楽しんでいることに腹を立て、後でとっちめるために彼の懐中時計を動かぬ証拠として奪います。
第三幕
舞踏会の次の朝。刑務所で余韻に浸るフランクのもとに、アイゼンシュタインが出頭しました。
しかし、フランクは正体を明かすとともに、「アイゼンシュタインは昨晩逮捕した」と言うので、本物のアイゼンシュタインは驚きます。
その後ロザリンデが、アルフレードを釈放してもらうためにやってきます。
アイゼンシュタインは弁護士に変装して、昨夜の出来事を聞き出そうとしますが、妻の浮気が発覚します。怒ったアイゼンシュタインは正体を明かし、彼女を責め立てるのでした。
そこでロザリンデは昨夜奪った例の懐中時計をアイゼンシュタインの動かぬ浮気の証拠として突きつけ、形勢は逆転。
ここでファルケ博士が、全ては自分が仕組んだ「こうもりの復讐」だったと種明かしをするのです。
アイゼンシュタインはロザリンデに謝罪し、「全てはシャンパンのせい」とにぎやかな大団円となります。