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#2 ドイツオペラ

  • 2019-07-06
  • 2021-04-15
  • 曲紹介
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こんにちは!チェロの深川です。

今回オペラについての紹介記事を書いている僕ですが、昔はオーケストラ一筋でオペラは食わず嫌いでした!でも、海外旅行の際にオペラを観てみたら(海外なので日本語字幕はありませんが)、とても面白い!本物に触れるという体験は何にも変え難いものですね。それ以来オペラも友達を誘ったりしてよく観るようになりました。オペラって目と耳を使って楽しめて、何よりストーリーがあるので音楽に詳しくない友達でもとても楽しんでくれたんです!

そうやってオペラを勧めることも楽しみの1つになった僕がお伝えするオペラの魅力。詳しくなくても楽しめるけれど、詳しかったらもっと楽しめるよね!ということでセクションごとに少しずつでも読んでみてくださいね!

僕たちが演奏するのはフンパーディンク作曲のオペラ『ヘンゼルとグレーテル』。フンパーディンク(変わった名前でしょ)はドイツの人なので、『ヘンゼルとグレーテル』はドイツのオペラということになります。こちらについては後ほど詳しめにお伝えしていきますよー!!

今回はオペラを見たことがない!って人もオペラを楽しめるようになるかもしれない!?そんな内容でお届けします!

目次

◯オペラってなあに?
◯オペラって国によって違うの?
◯『ヘンゼルとグレーテル』ってどんな立ち位置なの?
◯『ヘンゼルとグレーテル』の特徴は?

オペラってなあに?

オペラ(イタリア語・英語: Opera、フランス語: Opéra、ドイツ語: Oper)は、演劇と音楽によって構成される舞台芸術である。歌劇(かげき)とも呼ばれる。 
—Wikipedia「オペラ」より

Wikipediaによるとオペラは、「演劇と音楽によって構成される舞台芸術」のことですね。ざっくり「クラシック音楽版ミュージカル」のことだと思うと分かりやすいですね!

今の時代にミュージカルを上演するときは、録音を使うことが多いのかなと思いますが、ごく少人数でマイクを通して上演することもあるみたいです。

クラシック音楽の時代、日本で言うところの明治時代にマイクや録音機械、スピーカーはあるでしょうか?ありません!!ですから当時 音楽付きの劇を上演するには生のオーケストラを用意するしかなかったわけです。

一般的によく上演されているオペラの形式に限ってお話をしていきます。時代を経るごとに形式も変化していきます。

●モーツァルトやハイドン 、ロッシーニなどが活躍した時代

この時代のオペラは「歌」と「セリフ」が明確に分かれていました。

「セリフ」の部分は「レチタティーヴォ」と呼ばれ、オーケストラやチェンバロの伴奏に合わせて物語が進行していきます。ここで漫才のようなやり取りを挟むこともあります。

「歌」の部分は「アリア」と呼ばれ、一度物語の進行がストップして、登場人物の心情が歌手によって歌われます。このアリアの中で有名なものは単独で歌われることもあります。

●ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニなどが活躍した時代

時代が進むにつれて「歌」と「セリフ」の区別が曖昧になってきます。

フルオーケストラが常に演奏を続けていく中、物語が歌によって進行し、重要な場面では「アリア」が繰り広げられることもあります。合唱やバレエなどが用いられることもあります!

オーケストラの人数もどんどん多くなってきて、オーケストラの仕事がとても増えました。また、上演時間も長くなっていき、ワーグナーはなんと、4時間×4日間という壮大なものを作り上げてしまいました!人間の能力を過信しすぎだろ…

オペラは「総合芸術」と言われる理由がわかった気がしますね!(自画自賛)

音楽、お芝居、物語、歌、舞台、演出などありとあらゆる芸術が詰まっています。どの分野に興味を持っている人が見ても楽しめる、それがオペラのいいところだと思います。

オペラのことを知りたくなった人は「歌劇場へLet’s go!」特に知識がなくても楽しめること間違いなし!!

オペラは国によって違うの?

主にヨーロッパで発展してきたオペラ。ルネサンス以降、個人の個性を表現することが大切になってきました。常に戦争が絶えなかったこともあり、国のアイデンティティを確立していくことも求められていました。

そんな中、音楽やオペラも国ごとに特色が現れてきました!特にオペラは民衆の生活や政治を描いたものが多くあり、国のアイデンティティを出すにはもってこいだったのかもしれません!

そのような経緯もあり、オペラを見ると当時の生活や国の雰囲気を垣間見ることができます!

●イタリア

オペラといえばイタリア、イタリアといえばオペラ。ミラノ・スカラ座やローマ歌劇場など、有名な歌劇場がたくさんあるイタリアは超オペラ大国なんです!

オペラはイタリアのフィレンツェで始まったと言われており、オペラ発祥の地でもあります。モーツァルトの時代は、普段ドイツ語をしゃべっている人でもオペラを書くときはイタリア語で書いていました!

イタリアオペラの特徴としては、「アリア」が挙げられると思います。話の流れよりも「歌」が重視される傾向があると思います。イタリアオペラのアリアには本当に素敵なものがたくさんあるんです!

また、イタリアオペラには男女の恋愛をメインの題材にした作品が多い気がします。恋愛好きのイタリア人だからこそでしょうか笑

イタリアオペラで有名な作曲家といえば、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニなどが挙げられます。

有名な作品としては、『セビリアの理髪師』(ロッシーニ)、『ランメルモールのルチア』(ドニゼッティ)、『リゴレット』『椿姫』『アイーダ』(ヴェルディ)、『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』(プッチーニ作曲)などがあります。『蝶々夫人』は日本を題材とした作品ですね!

また、有名なアリアとしては、『女心の歌』(リゴレット)、『乾杯の歌』(椿姫)、『ある晴れた日に』(蝶々夫人)、『誰も寝てはならぬ』(トゥーランドット)などがあります。どれもおもわず歌いたくなってしまうような素晴らしいアリアばかりです。

●ドイツ

ドイツも今では歌劇場がたくさんあり、オペラ大国となっています。本格的な歌劇場はなんと30以上もあるそうです!ウィーン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ドレスデン国立歌劇場など、観光名所ともなる荘厳な歌劇場がたくさんあります。

しかし、ベートーヴェンの時代にはロッシーニなどのイタリアオペラが大人気で、ドイツ語のオペラというのはあまり作られていませんでしたがウェーバーの登場によりその風潮に変化が生じ、ドイツオペラに流行の兆しが。

ウェーバーの作風をさらに発展させたのがワーグナーです。ワーグナーは総合芸術としてのオペラ(ワーグナーは楽劇と呼びました)を確立しました。

さらにワーグナーの流れを引き継いで、リヒャルト・シュトラウスが集大成と言われています。

ドイツオペラの特徴は、物語と音楽を重視することです。イタリアオペラが物語の流れよりもアリアを優先したのとは対照的に、ドイツオペラでは物語・音楽の進行が第一に考えられています。

また、題材としては「魔法」を扱ったものがたくさんあります。魔法を扱うようなメルヘンを題材にしたものは「メルヘン・オペラ」とも言われています!

ドイツオペラで有名な作曲家としては、モーツァルト、ウェーバー、ワーグナー、ヨハン・シュトラウス、リヒャルト・シュトラウスが挙げられます。

有名な作品として、『魔笛』(モーツァルト)、『魔弾の射手』(ウェーバー)、『ローエングリン』『ニーベルングの指環』『トリスタンとイゾルデ』(ワーグナー)、『サロメ』『ばらの騎士』(リヒャルト・シュトラウス)が挙げられます。確かにメルヘンチックなものが多いですね笑

●フランス

フランスのオペラは「グランド・オペラ」という、5幕形式でバレエを含むものが有名です。バレエがないと聴衆にウケなかったんだとか・・・

歌や音楽よりも「踊り」が重要視されていたんですね。お国柄が出ている気がしますね!

有名な作品としては、『サムソンとデリラ』(サン=サーンス)、『カルメン』(ビゼー)が挙げられます。

●ロシア、チェコ、スペインなど

これらの国では、有名な音楽作品を作り出した作曲家がオペラも作曲しています。国に伝わる民謡などを生かした旋律がたくさん使われており、国の特徴を出そうといった作品が多いです。

有名な作品としては、『エウゲニー・オネーギン』(チャイコフスキー)、『ルサルカ』(ドヴォルザーク)、『売られた花嫁』(スメタナ)が挙げられます。

このように国によってオペラの形式は異なってきています。ここまでお国柄が顕著に出ているジャンルはなかなかないのでしょうか?知れば知るほど面白くなるのがオペラの魅力だと思います!

『ヘンゼルとグレーテル』ってどんな立ち位置なの?

『ヘンゼルとグレーテル』を作曲したエンゲルベルト・フンパーディンクはドイツの人です。ワーグナーより40年ほど後に生まれ、ワーグナーの弟子でした。ワーグナーの助手を務めるほどワーグナーに心酔していたようです。

ドイツオペラの特徴はドイツという土地に大きく関係している気がします。

イタリアやスペインなどの地中海沿いの国はとても明るく、まさにバカンスといった気候で人柄も陽気な人が多いように思います。しかし、ドイツは深い森に囲まれた寒くて暗い土地です。

食べ物も違っていて、地中海では海鮮や小麦(海鮮パスタ!)、オリーブやブドウなどが取れます。ドイツなどの内陸ではジャガイモと肉(ソーセージ!)、そしてライ麦(黒パン)がメインになってきます。

ジャガイモとソーセージを食べながら、黒い森に囲まれて生活していると、メルヘンチックな気分になってくるようで、メルヘンというのはドイツで登場しました。オペラもメルヘンを題材にしたものがたくさんあります。

モーツァルトの『魔笛』に始まり、ウェーバーの『魔弾の射手』、ワーグナーの『さまよえるオランダ人』、そしてフンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』などが「メルヘン・オペラ」と言われています。

フンパーディンクは『ヘンゼルとグレーテル』以外にもたくさんのメルヘン・オペラを作曲したそうですが、今日上演されるのはほとんどこの作品です。

まとめ

①『ヘンゼルとグレーテル』は師匠のワーグナーの影響をモロに受けている
② 『ヘンゼルとグレーテル』はドイツの伝統的なメルヘン・オペラである。

『ヘンデルとグレーテル』の特徴は?

①ワーグナーの影響

リヒャルト・ワーグナーはドイツの作曲家です。数々のオペラを作曲したことで知られています。また、彼はオペラの形式を変えた人物でもあります。ワーグナーに影響を受けた通称「ワグネリアン」は世界中にたくさんいますし、のちの作曲家にも多大な影響を与えています。

ワーグナーのオペラの特徴は、「長い・うるさい・終わらない」だと思います。とても長い作品もありますし、オーケストラの音も分厚いです。また、無限旋律という手法を用いることによりなかなか終わりません。

しかし、これに慣れてくるとハマってきます。普段体験できないような体験ができるのです。これの魅了された人がたくさんいるわけです。フンパーディンクもそのうちの一人。

『ヘンゼルとグレーテル』でも無限旋律が用いられており、幕の間以外に音楽が途切れることはありません。また、オーケストラもとても分厚い音を出すことが要求されます。

②メルヘン・オペラ

『ヘンゼルとグレーテル』の題材は有名なグリム童話『ヘンゼルとグレーテル』です。あらすじはこちら

魔女や精霊が出てくるのは、中世ヨーロッパの雰囲気を感じます。今でもドイツのメルヘン街道沿いの街にはメルヘンを感じる建物がたくさん残っています。メルヘンの世界は空想上のものではなく、実際にあった世界を基にしているのです。このような世界に住んでいる人が書いたメルヘン・オペラ、とても面白いものになっていると思いませんか?

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