ブログをご覧の皆さん、こんにちは!
ホームページ中の人、フルート奏者のはっしーです。
お久しぶりのインタビュー企画、今回はチラシ制作班にインタビューです。
トラオムでは、ヴィオラ奏者の和井内くんが毎回素敵なチラシを作成してくれています。
今回は今までと違い具体的なモチーフがないため、完成まで紆余曲折があったそうで…?
どのように「”らしさ”の探求」を表現したのか、チラシの制作過程を伺ってみました!
チラシを作ったのは○○!?
米本:チラシについては一番ご迷惑おかけしてるからね。
和井内:恒例のね(笑)
米本:まず前提として、トラオム祝祭管弦楽団のチラシ作成は、いつも総監督米本からチラシ担当和井内に欲しいイメージを依頼して作られます。
和井内:基本的には一対一で相談しながらやっているよね。
米本:いつもそれで米本の言語化能力が低すぎてですね、和井内に意図がなかなかうまく伝わらず大変なんですよ。なので今回はお手伝い集団を招集して、「よねさんが言いたいのはこういうこと」って言ってくれる人を招待したLINEグループを作ったのがスタートでした。
最初は本当に抽象的なことしか伝えられなくて…
小栗:『基本的なイメージは、華やかで目立つものにしたい。綺麗でいいが整った感じにはしたくない。「”らしさ”の発見」ではなく、「”らしさ”の探求」としてるのでぐちゃぐちゃした感じもほしい。直線よりは複雑な模様のような感じ。』以上。分かるか!!!(笑)
一同:笑
米本:ひどいですよね(笑)
和井内:…そのような要望をいただいた上でまずこちらで原案を作成します。
曲線とか模様とか、混沌とした感じを出すためにあんまり写実的な感じにはしたくないなーとは思っていて、モネとか印象派の絵画のようなタッチを採用しました。ただ、色の彩度とかは印象派とは全然違うもの…といった状況で、一から自分で作るのは無理だなということで、今回はAIの力を借りて作りました。
具体的に言うと、「○○を入れる」「○○は入れない」といった要件定義的なものを入力すると、それを表現した絵をAIが自動生成してくれるっていうやつですね。
で、そういうAI言語特有のワードとかあったりするからそれをポチポチしていたら色々なものが出てきたと。
例えばこれは確かヴァイオリンを演奏してる草原の夕方のイラスト。で、「人」を入れるなみたいな感じで(日本語訳すると)作ってみました。
ただAIで生成した画像そのままだと正方形の画像しか作れないのと、単純にチラシとして使用できるクオリティには至らないっていう問題があったので、例えば上を書き足したりいろいろ作ってみたのが今回のスタートですね。
米本:で、具体的な絵が出てきて、このカオス感はいい!ただカオス感はOKだけど色は全然違うとか、輪郭がはっきりしすぎてるとか、「こうしてほしい」じゃなくて「こうじゃない」っていうのを言いまくってた。
小栗:そうそう、その辺で色の話が出て、なんかオレンジとか明るい色じゃなくて暗い青とか寒色のイメージだから、もっとダークな色だねみたいな。
「”らしさ”の探求」
小栗:今回のテーマは「”らしさ”の探求」だから光を求める感じが欲しいって米さん言ってたよね。光がないのはらしさの喪失だから光が欲しいみたいなこと。
米本:そうそうそうそう。
小栗:で、小栗が『洞窟の中から外見た感じ?』みたいな話をしたら、それだ!!って。
光についても、光ってどういう感じ?みたいに突っ込んだよね。神秘的な光なのか、何かオドロオドロしい感じなのか。神々しいんだけど神々しいがゆえに恐ろしい感じなのか、最初から怖い光なのかみたいな。
米本:そう、光も「”らしさ”の発見」を指していて、光が見えた瞬間にそっちに行っていい光なのか、それとも行ったらまずいことが起きるのかわからない状態を作りたかったから、神秘的で「絶対あっち行ったら正解だ!」っていうふうにもしたくないし、おどろおどろしい感じで「あれば避けた方がいい」っていうふうにもしたくない。この微妙なニュアンスを求めていた。
小栗:だから、そこが神秘的であるがゆえに近づきづらい感じなんだねみたいに言葉を出したり、”恐れ”というより”畏れ”か、みたいなそういうのを横からチャチャ入れて固めてったんです。
和井内:絵の持つ抽象度は、印象派のそれを採用しつつ、雰囲気はブラームス・スメタナの力強さみたいなのを出していきたいなって思ってた。
米本:そうだよね。印象画とかって筆のタッチがふわふわしてて柔らかい感じがするけど、どちらかというと、ゴシックみたいなゴツっとした印象が欲しくて。
和井内:そういったところを、言語化サポート班として皆さんが助けてくださったと。
皆さんは翻訳者として今後活動していただければと。(笑)
で、最終的に今の原案になったAIのイラストは米さんが出したやつ。
米本:そうだね。洞窟っていうかなり明確なキーワードが出てきて、あと色の話とか光はもっと遠くの方みたいな、欲しいイメージがかなり具体的な言葉になってきて、初めて僕がAI使える状態になりました。
多分最初の、「こんな感じ・・・」だったら多分全然出なかっただろうな…
和井内:最終的に今のチラシの元になったのがこれです。
ただ先述の通り、サイズは正方形でチラシのB5サイズには足りないので、上部分の書き足しをしました
そして洞窟感が欲しいということだったので一応チラシ右下部の光を意識しつつも、周りは洞窟というよりかは木々に覆われていて、その木々は真っ暗だから色味はほぼ青とか紫とかに近い状況なのかなっていうのも考えながら一応こっちとしては作ってたんだけど、あくまで洞窟のイメージはもちろん崩さずやってました。
小栗:そういえば、後半の方で「もはや場所はわからなくて、森とも洞窟とも見れる感じが欲しい」みたいなこと急に言い出したよね(笑)
和井内:洞窟の岩肌を岩肌!って感じにせずに、木の幹みたいにすると抽象度が上がるっていう話で…
小栗:何言ってんだよ(笑)
米本:これは写実的にはしたくないっていう話の延長で…
和井内:…そんな感じで抽象度を高めつつ、今度はエフェクトをかけようっていう話になって。
米本:そう、いただいた原案があまりにもダークすぎるっていう印象だったのでもう少し美しさみたいなのも欲しいってなって、それでエフェクトかけようと。
和井内:例えばさっきのは洞窟と森だけだったけれど、チラシ上部は夜空っぽくすれば逆に抽象度上がるんじゃないかっていう、要素足しパターン。
あとはフィルタをかけたりとか。これは森の要素入れすぎたパターンで結局ボツになったんだけれど
これはがっつり葉っぱ。トラオム第一回演奏会のリスペクトで作ってみました。これは結局採用されなかったんだけれどこういったものもありかなっていうのでいろいろ案を出していた。
米本:で、最終的に採用したのが夜空の要素を足したもので、洞窟っぽいけど森ともとれるし夜空にも見えるよねみたいな。
和井内:…というところと、実は若干葉っぱっぽいようなエフェクトも採用しました。
全体的にうっすら葉っぱのエフェクトがかかっている
米本:うわあ、ほんとだ!!葉っぱいる!
和井内:…という感じで文字入れの前の段階としてこういうものが出来上がりました。
米本:これでようやく絵ができました(笑)
和井内:細かい話をすると、光の部分についてはいわゆる光というよりかは祠っぽい何かがあるんじゃないかっていうイメージでこっちとしては作ってて、その後エフェクトをかけたりする時に、目につきそうな部分についてはもう少し明るくして右下に情報を集中させようかなと加工したところでございます。
小栗:ご苦労様でした。
米本:お疲れ様です。
和井内:もう振り回されに振り回されて(笑)
正直なところでいくと、最初の米さんの頭の中にあるイメージを日本語にする作業っていうのが皆さんに一番お願いしたかったから、それが終わるともう米本和井内間で話が進んでいったよね。
小栗:日本語にするの結構頑張ったよね(笑)
米本:小栗のおかげで…(笑)
小栗:今回を思えば今までのチラシ作成はまだすんなりいったよね
米本:そうだね、「夏の夜の夢」と「ヘンゼルとグレーテル」は原題があるからそれでイメージしやすいし、それにサン=サーンスはオルガンとオーロラっていうキーワードがあったから、まだ作りやすかったと思う。
和井内:まあ、当時もすごく難しかったけど(笑)
米本:今までの演奏会では米本↔和井内間でずっと最初から今みたいなことをやっていました(笑)
ぜひね、今の話を思い出した上で過去のチラシを見てもらうと結構苦労した跡に気づくと思うので、ぜひぜひもう一度見返していただけるといいのかなと思います。
(演奏会のアーカイブはこちら ↓)
劇付随音楽「夏の夜の夢」演奏会 (traumfo.com)
オール・サン=サーンス・プログラム (traumfo.com)
「ヘンゼルとグレーテル」演奏会 (traumfo.com)
和井内:…こんな感じでチラシができあがりました。
皆さんも人に依頼をする際は、具体的な日本語をよろしくお願いします。1個あれば!せめて1個あればいいっす!!
一同:笑
編集後記
いかがでしたでしょうか?
制作陣のこだわりが詰まったトラオムのチラシ、皆様もぜひじっくりとご覧ください!
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